新連載

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とにかく女性が自由に生きる事、取り分け介護を受けながら生きる事は難しい国です。
家族として歴史を持った高齢者、財を成した御婦人はともかく、私のような只の若い母親
が(だった?)介護されるとなると、ある種の才能は最低限必要だと痛感する此の頃では
あります。
少し妙な方向の自慢話になって恐縮なのですが、私は漁師の娘で、大家族の中で(とは言
え兄が4人弟一人の単純な構成です)育ちました。
人手も多かったし危険なほど不器用だったので、生まれてから結婚するまで果物すら剥い
た事がありません。
父は「アフリカなら直ぐにハイエナの餌になるな」と言っていたものです。
私が自立しなければならないと思ったキッカケは、配偶者の元に戻った事にあります。
生まれてからズット言わば要介護だった訳で、ALSによる障害で介護を受ける事に抵抗
は無かったのです。
しかし、ある日の出来事を機に「このままでは心が死んでしまう」と自己回帰を決意しま
した。