要介護犬

ポンちゃんのことですよ。
私の未来は時限つきなのでポンちゃんの老後を本当に心配しています。
二週間シャンプーしないと犬くさいと言われる自分に、ポンちゃんは耐えられるのでしょうか。
ちょうど二週間で爪がのびて小走りするとこけるときがあります。
こんな我儘な老犬はきっとみんなに嫌われる。
それも心配で死んでいられない。


そんな犬のことより骨格提言の心配をしよう。
のんびりした議論に19回参加してきた。最後まで関係者がALSに配慮することなく終わりそうだったので、佐藤座長に手紙を書いてみました。佐藤先生は日本社会事業大学障害福祉論の教授です。お願いすれば一コマくれる人ですが、一限であることと謝礼が少ないので一度しか行っていません。
つまり優しい人です。19回のうちに2回しか怒っていません。
そんなことはどうでもいいのですが、最後に書いたA4一枚の手紙で少しはALSを理解してくれたと思います。
私自身の主張は軽度身体障害者に恩恵を与え続けてきたので、議事録の残る場所では発言を控えています。
社会の枠組みの外にいる者の主張は中にいる者に伝わらないのは仕方のないことだと思います。


事例1 在宅生活の前提=家族の犠牲?
滋賀県の男性患者。病院の主治医から呼吸器を付けないほうがいいと勧告を受けた。しかし、ALSは死んではいけない病気と判断し、呼吸療法で在宅療養を希望した。訪問看護は週2回が限度。滋賀県では当時ヘルパーは吸引も経管栄養もしていなかった。呼吸器装着が家族が仕事を辞めるならという条件付きになってしまっている。妻は断固拒否。夫に呼吸器をつけたくないと言った。最終的には絶望した夫が自ら「事前指示書」を作成。呼吸器を断念し死亡。

事例2 医療的ケアの体制の不備
千葉県の女性患者。ヘルパーが胃ろうから注入していることを保健所と医療機関患者会から厳重注意され、訪問看護師が1日3回経管栄養をつなぐためだけに訪問、一回1500円の交通費で1日4500円を支払って在宅破たん。特養ではヘルパーは吸引をせず、定期的に看護師が回ってきたときだけ吸引。呼吸器を付けたまま窒息し死に至っていた。

事例3 在宅介護・医療の不備
豊島区の患者60歳。呼吸器を希望したが家族に介護力なく、区にヘルパーの派遣を交渉したが、豊島区は重度訪問の給付実績がなかった。妻はくたくた。夫は進行し入院。気管切開をしてもらったが、退院後は在宅療法の指導一切なし。頼みもしないのにモルヒネのパッチと酸素3リットル入れられていた。3ヶ月後意識不明になり救急車で運ばれる途中で死亡。

事例4 重すぎる家族負担と介護・医療体制不備
千葉県のALS60代の女性患者。病院の主治医から、夫が仕事をやめ主たる介護者として常時家にいない限り、気管切開をすることはできないといわれる。本人は気管切開の意思があったものの、住宅ローンが残っているため、夫が仕事をやめるのは困難と考え、手術に及ばなかった。
胃ろうだけしていたが、ヘルパーが経管栄養をしてくれるところはなく、仕事の合間に夫が帰ってきて、胃ろうをやっていた。吸引もやってもらえるヘルパー事業所はなく、鼻マスク人工呼吸器を装着すると日中はいる事業所がなくなるので、酸素だけをつけていた。夫の介護と仕事の負担が重たくなり夫婦関係が相当悪化している中で急変して自宅で死亡。

事例5 デイサービスからも敬遠され
千葉県の50代ALS女性患者。人工呼吸器をして幸せになることはないと医師に言われて、絶望の淵に立つ。小規模多機能の事業所でディサービスとヘルパー派遣を受けていたが、進行しディサービスで受け入れてもらえなくなる。その後、ヘルパー派遣を増やそうと思うが、なかなか増えず、夫が介護休暇を取った。本人は呼吸苦と体の痛みを何度も訴えるので、モルヒネを短期間に増量した。その後、薬疹が出て、救急車で運ばれた病院で死亡。


事例6 限界までの家族介護負担
千葉県の60代ALS女性患者。気管切開して、日中は数社のヘルパー事業所、夜間は夫が介護をしていたが、仕事をしながら夜間の体位交換と吸引を行っていたので、寝不足がたたり、国道の交差点で居眠りし、追突事故を起こされる。首のヘルニアを抱えながらの介護で体位交換があまりできないでいた。
その後、やがて、明け方急変し、患者は死亡。

事例7 小学生の息子が夜間介護
渋谷区の45歳女性患者。離婚後ひとりで息子を育ててきた。発症当初は呼吸器を拒否していたが、息子のために生き続けることを決意。寝返りもできなくなってきたので、6年生のその子が真夜中2時間おきの寝返り介助と母親の排せつ介助をしている。それでも渋谷区は重度訪問介護1日8時間しか支給していない。息子は睡眠不足で頻繁に頭痛を訴えている。

事例8 自治体格差による不本意な転居
守屋市40歳男性患者。ヘルパーが吸引をしないので母親がひとりで24時間介護をしていた。市は重度訪問介護を提供しない。顎呼吸になり呼吸困難になったが、病院の医師が「よく考えるように」と言うだけで入院させてくれず、2週間も死にそうになりながら入院を待った。死を意識してから気管切開できたが、守屋市では在宅療養は無理と覚悟を決めて都内に引っ越してきた。

事例9 自治体格差による不本意な転居
千葉県30代女性筋ジス患者。10歳から22年筋ジス病棟に入院していた。在宅生活を希望するも、鼻マスク人工呼吸器を装着している場合、家族とともに住むことができなければ在宅で暮らすことはできないと主治医に言われる。なかなか退院を許可してもらうことができず苦労する。
病院に反対されても一人暮らしを決意し市町村に交渉するも、一日8時間しか支給しないといわれ、東京都に移転することを決めて、東京で一人で暮らすことになる。

事例10 足りない重度訪問介護で妻病状悪化
千葉県60代男性ALS患者。人工呼吸器の装着を希望したら、主治医に断られ、転院する。ケアマネージャーには施設のパンフレットをもらう。
行政は本人の状態も見ずに、この市町村では重度訪問介護は300時間しか出ないと主張し支給決定される。
妻は持病もちで、重度訪問介護以外の時間のほとんどを一人で行っているが、めまいがひどい。医師に介護はできないと診断されるも、市役所が理解してくれないので、現在審査請求中。もう9か月になるが、結果はまだ出ていない

事例11 重度訪問介護 自治体の制限基準(西日本の中核市
1人暮らしの人工呼吸器利用のALSで重度訪問介護が24時間必要でも、市は25%の負担が重いと言って、1日12時間の支給決定しかしない。
24時間の介護がないと痰が詰まって窒息して死んでしまうので、毎日12時間のボランティアでまかなっていたが、ボランティア不足で埋まらない日などどうしようもないときは緊急入院している。しかし、病院ではALSの介護方法がわからないのでろくに介護ができないので、いつも死にかけてひどい目にあって病院から命からがら出てくる。こんな不安定な状況が続いている。

事例12 まもなく家族介護への依存の限界(北日本の農村部の市)
ALSの本人と夫の2人家族。重度訪問介護を1日11時間利用。夜中は夫が介護していたが、だんだん障害が重くなり、ほとんど夫が寝られずに疲労がどんどん蓄積して、一家心中寸前。
市は25%の負担が重いので、これ以上は時間数を出せない。

事例13 介護保険しか使わせない市町村(北日本の農村部の町)
ALSの本人と老いた両親の家族。町が家族の介護と介護保険だけで十分だと言っていて、
重度訪問介護を1時間も出してくれない。ヘルパーは短い時間決まった介護をするだけなので、文字盤が読めない(時間をかけないと読めるようにならないので、その時間が無いので読むスキルがない)。なので意思疎通ができないので、かゆいところをかくことや、やってもらいたい介護が全然頼めない。

事例14 重度訪問介護を就労に使いたい(西日本の方)
難病の1日24時間の介護の必要な1人ぐらし障害者。重度訪問介護を毎日24時間使っている。生活保護。(働く意欲はあるのに介護制度の問題で働けない)
社会に参加して地域を良くしたいと考えており、困っている障害者への相談支援活動をかねてよりおこなっており、東京などで2泊3日研修を何度も受けたい。(しかし1泊以上の外出が認められない)
数年後には相談支援事業所で働きたいと考えている。しかし、重度訪問介護が仕事には使えないので働けない。体温調節の障害があるので、職場や相談支援利用者への移動に車の運転介護が必要だが、運転介護も重度訪問が認められていない。

事例15 入院先でも慣れた介護者が必要。その拒否で命の危険 
最重度の頚損。1人ぐらし24時間重度訪問介護利用。風邪をこじらせて肺炎になっても、入院できない。薬のみで自宅で耐えるしかない状態。
入院すると慣れたヘルパーが病室で介護できないので、介護方法に慣れた人がいないと体位の微調整や特殊な介護の方法がわからなく一睡もできないことになるので、かえって病状が悪化して死んでしまうおそれがあるため。
重度訪問介護で入院時もヘルパーを使えるようにならないと、命が危ない。